KPTとYWTの違いと使い分け。記入例つきの、ふりかえり入門

KPTとYWTは、仕事のふりかえりで定番の2つのフレームワークです。KPT(続けること・問題・試すこと)とYWT(やったこと・わかったこと・次にやること)のそれぞれのやり方、記入例、どちらを選ぶかの基準まで解説します。

わかること 頭の整理 所要時間 15分〜
向いている場面: 転職副業日常
4コマでわかるKPTとYWTの違いと使い分け。記入例つきの、ふりかえり入門

KPT・YWTとは

KPTとYWTは、経験をやりっぱなしにせず学びに変えるための、ふりかえりの定番フレームワーク2つです。KPTは「Keep(続けること)・Problem(問題)・Try(次に試すこと)」、YWTは「やったこと・わかったこと・次にやること」の頭文字で、どちらも書く欄が3つだけというシンプルさが特徴です。ソフトウェア開発のチームなどで広く使われてきましたが、個人の仕事や勉強のふりかえりにもそのまま使えます。

所要時間と道具

ひとりなら15分、チームなら30分〜1時間。紙を3つの欄に区切るか、付せんとホワイトボード(オンラインなら共有メモ)があれば足ります。

紙を縦に3分割して、KPTなら「Keep・Problem・Try」、YWTなら「やったこと・わかったこと・次にやること」と見出しを書けば、それがテンプレートです。チームの場合は付せん1枚に1項目で書いて貼り出すと、声の大きい人だけが話す会になりません。

向いている人・場面

  • 毎週忙しいのに、同じつまずきを繰り返している気がする人
  • チームのふりかえり会を、愚痴大会や反省会で終わらせたくない人
  • 転職・副業に向けて、これまでの仕事から「学んだこと」を言葉にしたい人

人生全体をさかのぼる手法ではなく、直近の仕事・活動を対象にする手法です。長い期間の棚卸しには自分史やモチベーショングラフが向いています。

やり方ステップ

KPTの進め方

  1. Keepを書く: うまくいったこと・続けたいことを書きます。先に良かったことから始めるのが大切な順序です。
  2. Problemを書く: 問題・困ったことを書きます。人ではなく、やり方や仕組みを主語にします。
  3. Tryを決める: ProblemとKeepを眺めて、次の期間に試すことを1〜3個だけ決めます。全部を直そうとしないことがコツです。

KPTの記入例(Web担当者の1週間のふりかえり)は、こんな形になります。

欄記入例
Keep朝イチにメールを見ない運用で、午前の作業が進んだ。
Problem記事のチェック依頼が前日夜に来て、毎回残業になった。
Tryチェック依頼の締め切りを「2営業日前」とルール化して提案する。

YWTの進め方

  1. やったことを書く: 期間内に実際にやったことを、事実として並べます。
  2. わかったことを書く: やってみて気づいたこと・学んだことを書きます。うまくいった理由も、いかなかった理由も、どちらも「わかったこと」です。
  3. 次にやることを決める: わかったことを踏まえて、次の行動を決めます。

YWTの記入例(初めて勉強会で発表した人のふりかえり)は、こんな形になります。

欄記入例
やったこと社内勉強会で20分の発表をした。資料作りに6時間かけた。
わかったこと資料より、冒頭の質問で聞き手が一気に乗ってくれた。自分は準備に時間をかけすぎる傾向がある。
次にやること次回は資料作りを3時間と決め、冒頭の質問を2つ用意する。

使い分けの目安

  • 改善したい問題がはっきりある・チームで仕組みを直したい——KPTが向いています。
  • 新しい挑戦をしたばかり・まず経験から学びを取り出したい——YWTが向いています。
  • 迷ったら、個人はYWT・チームはKPTから始めると大きく外しません。

気をつけたいこと

  • Tryや「次にやること」が増えすぎると、必ず破たんします。次の期間に本当にやるのは1〜3個までに絞り、残りは捨てる勇気がふりかえりの質を決めます。
  • KPTのProblem欄は、人を責める欄になりがちです。「誰が悪いか」ではなく「どのやり方を変えるか」に言い換えるルールを最初に決めてください。
  • 書いた紙を次回読み返さないと、同じTryを毎回書く「ふりかえりのための儀式」になります。前回のTryができたかの確認から始めるのが定石です。

やった後の次の一歩

ふりかえりを何週か続けたら、過去のKeepや「わかったこと」だけを読み返してみてください。そこに繰り返し現れるものが、あなたの強みの原石です。「冒頭の質問で場が乗る」が3回出てくるなら、それは偶然ではなく持ち味です。見つけた持ち味が人からどう見えているかを確かめたくなったら、ジョハリの窓が次の一手になります。どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。KPTもYWTも、それを毎週の習慣にするための器にすぎません。

よくある質問

KPTとYWTはどちらを使えばいいですか?
改善したい対象がはっきりしているならKPT、まず経験から学びを取り出したいならYWTが向いています。KPTは「問題」を正面から挙げる枠があるぶん改善が進みやすく、YWTは問題という言葉を使わないぶん、個人のふりかえりや雰囲気を守りたいチームで書きやすいという違いがあります。
ひとりでやっても意味はありますか?
あります。どちらもチームのふりかえり会で広まった形式ですが、週末に15分、自分の1週間をKPTやYWTで書くだけで、同じ失敗の繰り返しに気づけるようになります。転職準備では、過去の仕事をYWTで棚卸しすると、職務経歴書の「学んだこと」の素材がそのまま揃います。
どのくらいの頻度でやるのがいいですか?
チームなら1〜2週間に1回、ひとりなら週1回が続けやすい目安です。間隔が1か月を超えると出来事を思い出せなくなり、ふりかえりの質が落ちます。短く高頻度のほうが、長く低頻度より効果が出やすい手法です。

どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。