エニアグラムとは?9つのタイプの考え方と、決めつけずに使うコツ

エニアグラムは、人の性格を9つのタイプに分けて、それぞれの根底にある動機から自分を理解しようとするタイプ論です。9つのタイプの概要、タイプを探る進め方、実証研究の裏づけが限定的である点をふくむ注意点まで解説します。

わかること 性格 所要時間 30分〜
向いている場面: 日常転職
4コマでわかるエニアグラムとは?9つのタイプの考え方と、決めつけずに使うコツ

エニアグラムとは

エニアグラムは、人の性格を9つのタイプに分けて理解しようとするタイプ論です。名前はギリシャ語の「9(エネア)」と「図(グラム)」に由来し、円周上に9つの点を置いた図で表されます。ほかのタイプ論と違う最大の特徴は、行動ではなく動機——「何を恐れ、何を求めて、その行動をとるのか」——でタイプを考えることです。同じ「がんばり屋」でも、失敗が怖いからがんばる人と、認められたくてがんばる人は、違うタイプとして扱われます。

所要時間と道具

30分〜1時間。この下の9タイプの概要を読み、紙かメモに考えを書き出すだけで始められます。テストを受けなくても進められる手法です。

Web上の無料診断テストもありますが、標準化された公式テストがあるわけではないため、結果はタイプの候補出しとして使い、最後は自分の内省で確かめる進め方が合っています。

向いている人・場面

  • 自分の行動の理由(なぜ頼まれると断れないのか・なぜ完璧にしたくなるのか)を考えたい人
  • 強み・弱みの棚卸しは済んでいて、もう一段深い「くせの根っこ」に興味がある人
  • 人との違いを、優劣ではなく動機の違いとして眺めたい人

性格の分類より先に、事実ベースで自分を棚卸ししたい人は、自分史から始めるほうが地に足がつきます。

9つのタイプ

各タイプの呼び名は書き手によって少しずつ違うため、下の表では動機の輪郭が伝わる呼び名にしています。

タイプ根底にある動機の例
タイプ1(改革する人)正しくありたい。間違いを放っておけない。
タイプ2(助ける人)人の役に立ちたい。必要とされたい。
タイプ3(達成する人)成果を出したい。価値ある人間でいたい。
タイプ4(個性的な人)自分らしくありたい。ありきたりが怖い。
タイプ5(調べる人)理解したい。消耗から自分を守りたい。
タイプ6(忠実な人)安全でいたい。頼れる支えが欲しい。
タイプ7(熱中する人)楽しみたい。退屈や苦痛を避けたい。
タイプ8(挑戦する人)自分の力で動かしたい。支配されたくない。
タイプ9(平和をもとめる人)穏やかでいたい。争いを避けたい。

やり方ステップ

  1. 上の表を読み、気になるタイプを3つまで選びます。「当たっていて嫌な気持ちになるタイプ」こそ候補です。心地よく褒められている感じがするタイプは、なりたい自分のことが多いためです。
  2. 候補のタイプごとに、「それをしないと何が怖いか」を自分の言葉で書きます。例: 頼まれごとを断れない→断ると必要とされなくなる気がする、なら、タイプ2的な動機が働いているかもしれません。
  3. 最近の行動を3つ思い出し、動機を説明できるか試します。残業を引き受けた・旅行の計画を立てた・会議で黙っていた——それぞれの「なぜ」が、どの候補でいちばん自然に説明できるかを比べます。
  4. タイプをひとつに決めず、「いまの有力候補」として書き残します。動機は一度の内省で確かめ切れるものではないので、即決しないことがそのまま正しい進め方です。

気をつけたいこと

  • 実証研究の裏づけは限定的です。エニアグラムは心理学の標準的な性格測定として確立したものではなく、タイプ分けの妥当性や再現性を支持する科学的な証拠は限られています。学術的に検証された測定というより、内省のための枠組みとして扱うのが正確な距離感です。
  • 採用・評価に使ってはいけない道具です。裏づけの限界に加えて、動機は外から判定できないため、他人をタイプで判定して処遇を決める使い方は根拠も公平性も欠きます。
  • 自分への決めつけにも注意が必要です。「自分はタイプ◯だから挑戦できない」のように、タイプを行動しない理由に使い始めたら、道具が逆向きに働いています。タイプ論の弱点は16PersonalitiesとMBTIの記事で書いた再現性・二分法の問題と地続きです。
  • 9タイプの説明は、誰にでも当てはまる一般的な記述を多く含みます。「当たっている」という感覚だけでタイプを確定しないでください。

やった後の次の一歩

エニアグラムの収穫は、タイプ番号ではなく、「自分はこういうとき、こういう理由で動く」という仮説です。仮説は検証してこそ役に立ちます。今週、候補タイプの動機が顔を出した場面があったか——あったなら何が起きたか——を短く書き残してみてください。記録が仮説を支持すれば自己理解が一段深まり、裏切れば候補を見直せばいいだけです。どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。動機の仮説を過去の事実で確かめたくなったら、モチベーショングラフで人生の山と谷に同じ動機が流れているかを見るのが、相性のよい次の一枚です。

よくある質問

自分のタイプが2つで迷います。
迷うのが普通です。エニアグラムは行動ではなく動機(なぜそうするか)でタイプを考えるため、同じ行動でも動機が違えばタイプが違います。迷う2つについて「それをしないと何が怖いか」を比べると、自分に近いほうが見えてきます。決められない期間はタイプを保留して、両方の説明を参考にしてかまいません。
診断テストで出たタイプと、自分で読んで選んだタイプが違います。
よくあることです。エニアグラムの診断テストには標準化された公式のものがあるわけではなく、テストによって結果が割れます。動機は本人にしか確かめられない以上、最終的に自分のタイプを見極められるのは自分の内省だけです。テストの結果は候補のひとつとして扱い、各タイプの説明を読んで確かめる進め方が合っています。
家族や同僚のタイプを当てて接し方を変えてもいいですか?
おすすめしません。他人の動機は外から見えないため、他人のタイプ当ては外れやすく、外れたまま接し方を固定すると関係をかえって損ねます。エニアグラムは自分の内側を見るための道具として使い、他人には「この人には自分と違う動機があるかもしれない」という想像力の面だけを持ち込むのが安全です。

どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。