Will-Can-Mustとは?3つの円の意味と、紙1枚でできる書き方
Will-Can-Mustは、やりたいこと(Will)・できること(Can)・求められること(Must)の3つの円で、いまの仕事とこれからの方向を整理する自己分析の手法です。紙1枚でできる書き方、3つが重ならないときの考え方、注意点まで解説します。
Will-Can-Mustとは
Will-Can-Mustは、やりたいこと(Will)・できること(Can)・求められること(Must)の3つの円を書き出して、その重なりから「いま力を注ぐべき仕事」と「これから育てる方向」を見つける自己分析の手法です。人材サービス大手のリクルートでは、従業員が半期に一度「Will-Can-Mustシート」を記入して上司と話し合う目標管理の仕組みとして使われており、そこから多くの企業の人材育成や1on1に広まりました。
3つの円がすべて重なる仕事は、やる気が出て、成果も出て、評価もされる——そんな「おいしい交差点」です。ただしこの手法の本当の価値は、重なりを見つけることよりも、重なっていない部分がどこかを知ることにあります。
所要時間と道具
ひとりでやるなら30分〜1時間。紙1枚とペンがあれば足ります。円を3つ描いてもいいですし、下のような3列の表でもかまいません。
上司や友人と見せ合うと、Canの円に「自分では当たり前すぎて書かなかった強み」が足されることが多く、これはジョハリの窓の盲点の窓と同じ効果です。
向いている人・場面
- いまの仕事に違和感があるが、何が足りないのか言葉にできない人
- 転職を考え始めたが、辞めたい理由と探したい条件が混ざっている人
- 1on1や面談の前に、話したいことを整理しておきたい人
「そもそも自分のWillが分からない」段階の人は、先にモチベーショングラフで過去の山と谷を眺めると、Willの種が見つかりやすくなります。
やり方ステップ
まず、この質問に答えて3つのリストを作る
それぞれ3〜5個ずつ、思いつくまま書きます。きれいな言葉にする必要はありません。
| 円 | 書き出すための質問 |
|---|---|
| Will(やりたい) | 次の半年でやってみたいことは? 時間を忘れて取り組めるのはどんな作業? |
| Can(できる) | 人から頼られることは? これまでの仕事でうまくいったやり方は? |
| Must(求められる) | いまの役割で期待されていることは? 評価面談やお客さんから言われることは? |
次に、重なりを探す
- 3つすべてに顔を出す項目を探します。言葉が違っても中身が近ければ重なりです(例: Will「人に教えたい」とCan「後輩の面倒見がいい」とMust「新人の指導担当」)。見つかったら、それがいまのあなたの中心になる仕事です。
- 2つだけ重なる項目を探します。Will×Canだけ(やれるし、やりたいのに、求められていない)、Can×Mustだけ(こなせているが、気持ちが乗らない)、Will×Mustだけ(期待されていて、やりたいが、まだ力が足りない)——どの組み合わせかで、足りないものが分かります。
- 足りない円をひとつ選んで、小さく埋める計画を立てます。Will×Mustが重なってCanが足りないなら、必要な力をひとつに絞って練習する。Will×Canが重なってMustがないなら、その仕事を任せてもらえるよう提案してみる、という具合です。
書き終わったら、1行でまとめる
「いまの中心は◯◯。次の半年は△△を育てる」——この1行が、面談でも職務経歴書でも使える結論になります。
気をつけたいこと
- Mustを「会社に言われたこと」だけにしないでください。Mustには、家族との約束や自分の健康のように、会社の外から求められることも含めて考えると、円の形が実際の暮らしに近くなります。
- 3つの円は半年もすれば動きます。1回書いた結果を「自分の完成図」と考えず、節目ごとに書き直す前提の道具です。
- Willは立派である必要がありません。「定時で帰って勉強したい」も立派なWillです。大きな夢を無理にひねり出すと、かえって続きません。
やった後の次の一歩
Will-Can-Mustの結論は、「次の半年は△△を育てる」という約束の形をしています。約束は、立てたあとに確かめてはじめて意味を持ちます。今週、Willにつながる作業が何分あったか。Canを使った場面はあったか。そうやって日々の出来事を3つの円に仕分けしながら書き残していくと、次にシートを書き直すとき、円は記憶ではなく記録から描けるようになります。どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。
よくある質問
- Willが思いつきません。
- 珍しいことではありません。Willは「人生の夢」ではなく、「次の半年でやってみたいこと」くらいの近さで書いて大丈夫です。それでも出てこないときは、CanとMustを先に埋めてから、「できることの中で、もっとやりたいのはどれか」と逆からたどると見つかりやすくなります。
- 3つの円が重なりません。
- 重ならないこと自体が発見です。たとえばWillとCanが重なっているのにMustと離れているなら、「力を発揮できるのに、いまの役割がそれを求めていない」状態だと分かります。どの円とどの円が離れているかによって、次に打つ手(役割を変える・できることを増やす・やりたいことを仕事の外で試す)が変わります。
- 就活でも使えますか?
- 使えます。働いた経験がない場合は、Canを「アルバイト・部活・ゼミでできるようになったこと」、Mustを「応募先の仕事で求められること(求人票の仕事内容欄)」に置き換えると、志望動機と自己PRの重なりを探す道具になります。
2026年10月5日 更新
どの手法を選んでも、結果を日々に活かすのは「書いて、読み返すこと」です。